リポバッテリーの魅力は軽量・大容量・ハイパワーです。
ラジコンに慣れてくると、今使っているバッテリーに満足できず「リポバッテリーを使ってみたい」と考える人は多いことでしょう。
その反面、
「取り扱いが難しい」
「爆発することがある」
などの心配をしている方もいらっしゃると思います。
こわい。
ところでRCカー用リポバッテリーは本当に爆発するんでしょうか?
結論から申し上げますと、
爆発します。
爆発というよりは発火、炎上するという表現が正確です。
いずれにしても正しく取り扱いをしないと危険なバッテリーであることは間違いありません。
ここでは「ラジコン用リポバッテリーの正しい使い方」をご紹介していきます。
※すぐに見たい項目があれば下の目次から選んでください。
目次
リポバッテリーとは?
リポバッテリーとはリチウムイオンポリマー2次電池(Li-Po)のことで、ラジコンのみならずスマホやパソコンなど幅広く使われています。
従来の電解液の代わりに電解質をゲル状にした導電性のポリマーを利用し、フィルム層状にしたもので、ケースが軽量化され、エネルギー密度も高いのでとても使い勝手がいいバッテリーです。
リポバッテリーの特徴
メモリー効果がないので放電せずに充電できる
メモリー効果とは、充電残量があるまま継ぎ足しで充電を行うことで、本来より少ない容量でしかバッテリーが使えなくなってしまう現象です。
ニカドバッテリーやニッケル水素バッテリーはメモリー効果があるので、使用後には放電器(ディスチャージャー)で適切に放電させて、その後バッテリー内部が安定するまで時間をおいて(1日程度)から充電する必要があります。
Lipoバッテリーについてはその必要はなく、 そのまま継ぎ足し充電をして使うことができます。
自己放電がほとんどない
自己放電(自然放電)とは、バッテリーをフル充電状態にしておいても、数日放置しておくと勝手に放電されてしまう現象です。
ニカドバッテリーやニッケル水素バッテリーなどは自己放電がありますが、Lipoバッテリーは自己放電が少ないです。
軽量・ハイパワー
リポバッテリーは同じ容量のニカドやニッケル水素バッテリーと比べてとても軽量です。
そしてRCカーで一般的な2セル7.4Vのタイプだと満充電された状態では電圧が8.3~8.4V程度まで上がります。
ニッケル水素やニッカドが7.2Vですのでリポバッテリーのほうが高電圧だと分かります。
しか~し!
リポバッテリーは、電解質のポリマーに可燃性の有機溶剤を含ませているため、正極で酸化・結晶構造の破壊等が起きて発熱すると、この有機溶剤が気化してしまい(可燃性の高いガスになるので)発火してしまいます。
電子機器やおもちゃ等に内蔵されるリポバッテリーの場合、バッテリー自体に保護回路などが付いていますので普通に使う分にはそこまで注意することはありません。
ですがラジコンのバッテリーの場合、使用する人が各自でしっかり管理しないと重大な事故を起こしてしまいます。
リポバッテリーを使用する際には、
・過充電しない
・過放電しない
・満充電で保管しない
・充電、持ち運び、保管をする時はセーフティバッグに入れる
ということに注意しましょう。
RCカー用リポバッテリーの正しい使い方
リポバッテリーは専用の充電器で充電する
リポバッテリーの事故の原因で最も多いのが充電設定のミスやです。
リポバッテリーはニッカドやニッケル水素用の充電器で充電してはダメです。
必ずリポ専用、あるいはリポモードのある充電器で行ってください。
高性能な充電器は色々な設定が行えますが、説明書に書いてある通りに設定にしましょう。
設定を間違えると、必要以上に充電を続けようとして「過充電」の状態になり非常に危険です。
必ず設定が正しく行われているか毎回チェックしてください。
ヨコモのYZ-114 PLUSはレースに対応した高いスペックでありながら、初心者にも使いやすく価格も手ごろです。
リポバッテリーの充電は1C以下
リポバッテリーを充電する時は1C充電以下が基本です。
たとえば上の画像のバッテリーは容量が4000mAhです。
その場合4.0Aで充電するのが1C充電です。
もし2.0Aで充電するなら0.5C充電になります。
1C以上で充電すると事故の元になりますので必ず1C以下を守ってください。
もしバッテリーを長持ちさせたいなら、多少時間はかかりますが0.9Cくらいにした方がいいです。
上の4000mAhの容量のバッテリーなら3.8Aくらいで充電する感じです。
コンディションを維持するにはバランス充電
そしてバッテリーを長持ちさせるためにはバランス充電することも大切です。
バランス充電をすると充電時間が長くなってしまいますが、コンディションを維持するためには毎回バランス充電することをおすすめします。
充電器の説明書に「バランス充電」の設定方法が書いてありますので、その通りに行ってください。
⇩バランスコネクター
⇩充電器に付いているバランスコネクター接続口
◆ バランス充電とは?
一般的なRCカー用のリポバッテリーは2セル構造です。
2セルとは、電池ケースの中にリポバッテリーが2個直列に接続された状態のバッテリーを言います。
1セルは3.7Vなので、2セルになると7.4Vの電圧になります。
2セル構造だと充電と放電を繰り返しているうちに、セル間の電圧差が揃わなくなってきます。(電圧差が広がる)
この状態が進むと、バッテリーの寿命が短くなったり、パワーが出にくくなったりします。
この電圧差を整えながら充電するのをバランス充電と言います。
充電する時は必ずセーフティバッグに入れる
リポバッテリーを充電する時は必ずセーフティバッグ(リポバッグ)に入れてください。
⇩そしてふたをしっかりと閉めて充電します。
持ち運ぶ時や保管する時にもセーフティバッグに入れてください。
ただしセーフティーバッグは発火や炎上を防ぐものではなく、万一の発火時に被害を最小にする対策です。
セーフティバッグは色々なメーカーから販売されています。
中には全く耐火性のない商品もありますのでご注意ください。
私はさんのGFORTH(ジーフォース)さんのバッグを使っています。
過放電させちゃダメ
リポバッテリーの弱点は過放電に弱く、過放電の状態になると再充電できなくなります。
バッテリーの電圧が徐々に下がるからです。
リポバッテリーの電圧は1セル4.2Vが満充電で、3.125Vくらいが下限ですのでそれ以下になると過放電です。
過放電させたリポバッテリーは充電ができなくなったり、無理に充電しようとすると発火の可能性があったりと危険です。
過放電を防止するためには、設定した電圧になると電気の流れをカットしてくれるアンプを使うようにしましょう。
最近のブラシレスモーター用のアンプには殆どカット機能が付いています。
数値が設定ができるタイプなら余裕を持った電圧に設定しましょう。
満充電状態や放電した状態で保管しちゃダメ
バッテリーの電圧は気温によって変動します。
満充電や放電しきった状態で保管すると、気温の変化で「過充電」や「過放電」の状態になる可能性がありますし、ダメージを負う原因になります。
保管をする場合はだいたい半分~60%くらいの容量に充電された状態にしてください。
殆どの高性能充電器には「ストレージモード」があります。
ストレージモードはバッテーリーの保管にベストな容量に自動的に充放電してくれるモードです。
先ほど紹介したヨコモの充電器にもストレージモードが付いています。
こちらは保管に最適な電圧まで放電してくれる放電器です👇
→ジーフォース G2 STORAGE Discharger G210 [日本正規品]
バランスコネクターを繋ぐだけで保管に最適な3.85V/S(±50mV)になると自動でカットされます。
当たり前だけどショートさせたり「+」と「-」を間違えちゃダメ
ショートや逆接(プラスとマイナスを間違えて接続する)した場合にはバッテリー内部もショートします。
この場合、発火の危険性が高まりますので注意してください。
慣れた人でもやってしまうことがあるので、バッテリーを繋ぐ時はプラスとマイナスをよく確認してください。
温度変化に注意する
バッテリーの電圧は気温差で変動します。
保管をする時には温度変化が少ない場所でセーフティバッグに入れて保管しましょう。
温度が低い部屋で充電して、真夏の車内で運ぶ際なども注意してください。
衝撃、高温に注意
RCカーのリポバッテリーはハードケースで保護されていますが、地面に落とした衝撃で内部がショートして発火する恐れがあります。
シャーシに搭載する時はクラッシュの衝撃でズレたり飛び出さないようにしっかり固定しましょう。
リポバッテリーは気温が低いと電圧降下が早まり走行時間が短くなります。
だいたい25℃くらいの時が一番力を発揮してくれます。
温度が60℃くらいになると今度は発火の恐れが出来てきます。
直射日光の当たる場所や車内に放置しないようにしましょう。
リポバッテリーがこんな状態になったら危険!
バッテリーが膨らんでしまった
セルがダメージを負うと電解質の分解が進んでガスが発生するためにバッテリーが膨らんできます。(膨張現象)
溜まっているガスは可燃性電解液の気化物で引火性です。
電池内部がショートして火花が散り、発火や発煙などを起こす可能性があります。
バッテリーから臭いがする
リポバッテリーの電解液は「甘い臭い」「タミヤネジロック剤の臭い」などと言われています。
もしもバッテリーから臭いがしたらガスが漏れているということですのですぐに処分しましょう。
リポバッテリーの処分方法
まずはバッテリー機能を無くす作業をします。
リポバッテリーが入る大きさで500cc以上の水が入るポリバケツ等に、塩水(水500gに対して塩10g、小さじ山盛り2杯分程度)を準備し、その中にバッテリーを完全に浸します。
約2週間程度漬けておけばで完全に放電します。
電池機能が無くなり発火の危険が無い安全な状態になったら、各自治体の指示に従って廃棄します。
ハイボルテージリポ(Li-HV)って何?
「Li-HV」というハイボルテージリポバッテリーは2セルで7.6Vで、通常の2セル7.4Vのリポよりも電圧が高いです。
そのため、充電完了電圧を4.2V → 4.35Vと高くできるバッテリーなんです。
リポバッテリーは正しい使用方法で安全に使って長持ちさせよう
YouTubeで検索するとリポバッテリーが発火したり燃えたりする動画がたくさん出ています。
しかしその多くはニッケル水素モードで充電していたり、リポバッテリーに釘を打ち込んだりして意図的に発火させようとしている動画がほとんどです。
正しく使用、管理していれば何の前触れもなく発火することはほぼありませんし、仮に何か起きた場合でも大きな事故にはなりません。
逆にリポバッテリー以外のバッテリーでも使い方を間違ったり無理な充電をすれば破裂、爆発して重大な事故につながります。
⇩リポバッテリーはこちらの記事でも紹介しています。